その女性は、性格が悪いわけではありませんでした。
その女性は優しく、気弱で、従順でした。
それでも、その女性からは人が離れていってしまいます。
距離を保って付き合っている人からは、「優しいし、気配りのできる人」という評価ばかりです。
しかし、その付き合いが、ある一定の距離に近づくと、まるで反発する磁石のように、人が離れてしまいます。
その女性の夫は、かなり前から、そのことに気づいていました。
でも、何も言いませんでした。
なぜなら、その原因が明確に分かっていたし、その原因をその女性が改善できるとは思っていなかったからです。
それでも、ある夜、夫は女性に話しました。
少し仲良くなり気を許してしまうと、悪気はないけれど、相手を嫌な気持ちにさせる、その女性の無神経な発言について。
それを聞いた女性は、まず、自分そのものを否定されたと思い込み、自分を守るために言い訳しながら夫を攻撃し始めました。
「それは、あの時の状況が・・・」
「そんな事を言うなら、あなただって・・・」
「それなら、もう誰とも口を利かないことにする!」
その女性を守りたくて言った夫の言葉に、その女性はいつも感情的になってしまいます。
夫はその女性を守るために、こうしたらいいじゃないかと提案しますが、その女性は自分が悪者にされたと感じて、必死に自分を守ろうとします。
自分が責められていると思いこんでしまう女性は、思考が完全に止まり、どうしたら、自分が責められずに済むのかということしか考えられなくなってしまうようです。
自分に自身が持てない人は、他人に否定されることを極端に怖がります。
第三者が聞けば、それが否定ではなく、明らかに改善案だと分かるのですが、自分に自身が持てない人は、自分が否定されたとしか考えられません。
その状況から逃げたくて仕方がないのです。
だから、理屈に合わないことを言い始め、結局は会話にならなくなってしまいます。
その女性は、数年前に離婚をして、今の夫と再婚しました。
前夫から、「お前は間違ってる、だから、もう何も考えなくていい!」とさんざん言われてきたと言います。
なぜ、前夫にそんなことを言われたのか・・・それを考えようとはしません。
前夫との間に生まれた二人の娘たちに、「お母さんは私たちを捨てたんだ!」と言われた原因も、よくよく話を聞いてみると、結局はその女性が逃げる思考回路で生きてきたからだと分かります。
「わたしはコンプレックスが強く、自分に自信が持てない・・・・」
それが、その女性の口癖ですが、再婚した今の夫が、離婚した前夫と同じ気持ちになっていることに気づくことができません。
なぜ、相手が自分にそれを言ったのか?
相手にそれを言わせた原因はなにか?
それは否定なのか、提案なのか?
感情的になる前に、一息ついて、俯瞰的に状況を眺めることができれば、夫婦がお互いにより良い生活を送れるようになるはずなのです。
コメント