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終電の前に「もう一軒」と言った夜、告白が私を揺らしました

終電1時間前、私は「もう一軒」と言ってしまった――告白とキスで、心の重心が揺れた夜。

終電の1時間前なのに、私はまだ離れたくありませんでした。

小料理屋で日本酒を楽しんで、笑って、少し素の自分まで出してしまって、気づけば時計は終電の1時間前を指していました。
「帰らなきゃ」という理性は確かにあるのに、心は彼のそばにいたくて、名残惜しさが喉の奥に詰まって言葉になりませんでした。
私は家庭があり、息子たちがいて、明日もいつも通りの生活が待っています。
それなのに、今夜だけは終わらせたくないと思ってしまったのです。
彼と並んで歩く時間や、私の話を受け止めてくれるその表情が、私の中の渇いた部分に静かに染みて、離れることが怖くなっていました。
だから私は、彼にそっと「もう一軒行きたいな」とつぶやいてしまいました。

深夜までやっているバーで、彼は「ずっと好きだった」と言いました。

私たちは深夜まで開いているバーに入り、グラスを傾けながら、少し暗い照明の中で言葉を探しました。
そこで彼は、ためらうような間を置いてから、「実はずっと好きだった」と打ち明けてくれました。
そして「今も大好きだよ」と、まっすぐに言ってくれたのです。
その言葉は、ただ嬉しいというより、胸の奥に深く刺さりました。
私はずっと夫の言葉で傷ついてきて、求めても突き放され、近づけば拒絶され、心の置き場をなくしてきました。
そんな私に向かって「好き」と言われた瞬間、嬉しさと怖さが一緒に押し寄せて、足元がふわりと浮いたような気がしました。
そして私は、ほんの少しだけ「この人にもたれかかってみよう」と決心してしまったのです。

バーを出た踊り場で、私は自分からキスをしました。

バーを出ると、夜の空気がひんやりしていて、現実が戻ってくる気がしました。
だからこそ私は、言葉で気持ちを整える前に、体が先に動いてしまいました。
階段の踊り場で、私は彼の方を向いて、自分からキスをしました。
それは、軽い挨拶のようなものではなく、「今夜の私は確かにここにいる」と確かめるような、強い衝動のキスでした。
彼の驚いた表情が一瞬見えて、でも次の瞬間には、彼も私を受け止めてくれて、私は胸の奥の震えが少し落ち着くのを感じました。
してはいけないことだと分かっているのに、止められなかった自分がいて、その事実が、私の心をさらに揺らしました。

終電はもう終わっていて、タクシーの中で手をつないでいました。

気づけば終電はとっくに終わっている時間で、私たちはタクシーに乗りました。
車内の薄暗い灯りの中で、私たちはずっと手をつないでいました。
言葉を交わさなくても、手の温度が「今夜は本当に起きたことなんだ」と教えてくれるようで、私はぼんやりと窓の外を眺めながら、心臓の音を数えていました。
家族のいる家へ帰る道なのに、私の心はまだ彼の隣に置き去りで、戻り方が分からなくなっていました。
それでも彼は、私を家の前まで送ってくれて、真っ暗な道を静かに遠ざかっていきました。
その背中を見た瞬間、胸がきゅっと締まり、私は自分の中で何かが変わり始めたのをはっきり感じました。

夫公認のはずなのに、私の心は彼へ傾き始めていました。

その夜、私はドキドキとワクワクが止まらず、なかなか寝つけませんでした。
夫には「職場の人と食事に行く」と伝えていて、夫も「良かったじゃないか」と言っていたのに、私の心はもう「公認だから大丈夫」という単純な場所には戻れませんでした。
私はこれまで、夫婦の形を守ることに必死で、愛情の不在を見ないふりして、家庭を回してきました。
でも今夜、彼の「好き」という言葉と、手の温度と、私が自分から動いてしまった事実が、私の重心をじわじわと移してしまったのです。
私はまだ、どうしたいのか分かりません。
ただ、夫から彼の方へ比重が移り始めた自分を、もう誤魔化せなくなっていました。
嬉しさと罪悪感と怖さを抱えたまま、私は暗い天井を見つめながら、自分の心の変化をそっと受け止めていました。


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