帰宅した夜、夫の一言で私の中の何かが決定的に壊れました。

帰宅すると、夫は一人でビールを飲んでいました。
彼との旅行から帰宅すると、夫はリビングで一人、ビールを飲んでいました。
旅の余韻がまだ私の体のどこかに残っていて、心の中では彼の「ありがとう」が繰り返し鳴っていたのに、その空気は玄関を開けた瞬間に急に冷えていきました。
夫は私に隣へ座るように言い、酌をするように促しました。
私は言われるまま夫の隣に座り、夫のグラスへ静かにビールを注ぎました。
こういう動作は、私にとって長い間「波風を立てないための儀式」でした。
でもその夜は、注いだ泡が消えるのを見ながら、私の心がどんどん遠ざかっていくのが分かっていました。
旅行の会話はできたのに、最後の質問で空気が変わりました。
夫は「旅行は楽しかったか?」「何を食べてきた?」「どこを観光した?」と、彼との旅行について、いろいろと尋ねてきました。
そこまでは、私はなんとか普通に答えることができました。
富山の街のこと、景色のこと、食べたもののことを、当たり障りのない言葉を並べながら、私は必死に表情を整えていました。
でも次の質問が出た瞬間、背筋が寒くなりました。
夫は、彼との間に踏み込むような言い方で、下品な詮索をしてきたのです。
その一言で、私と彼が大切に抱えてきた思い出が、泥のついた靴で踏みにじられたように感じました。
私の「やめて」が届かず、私はついに言ってしまいました。
私は「何もしてないわよ、そんなこと聞かないで」と、できるだけ短く返しました。
すると夫はニヤニヤしながら、私の気持ちをからかうように言葉を重ねてきました。
私はその態度が苦しくて、胸の奥が冷たくなり、息が浅くなるのを感じました。
そして夫は、また当然のように私へ触れようとしてきました。
その瞬間、私は反射的に叫ぶように拒んでしまいました。
「やめて、気持ち悪い」と。
夫婦の間で言ってはいけない言葉だと分かっているのに、止められませんでした。
それほどまでに、その触れ方が私には耐えられなかったのです。
鳥肌が立つほどの嫌悪感が、私の本音を暴きました。
私は本当に気持ち悪かったのです。
大げさではなく、鳥肌が立つほどに嫌悪感を感じました。
以前の私は、夫の機嫌を損ねないために自分の感覚を抑え、妻としての役割を優先してきました。
でも彼と過ごした旅の時間が、私の中の「大切に扱われる感覚」を呼び覚ましてしまったのだと思います。
だからこそ、夫の下品な詮索と、所有するような触れ方が、私の尊厳を踏みつけるものに見えてしまいました。
私は夫を憎みたいわけではありません。
ただ、私の心と体が、もう夫に寄り添えないところまで来てしまったのです。
「早くこの結婚を終わらせたい」と初めて強く思った夜でした。
その夜ほど、「早くこの結婚を終わらせたい」と強く思った日は、今までありませんでした。
旅の終わりの寂しさよりも、帰宅した瞬間に始まる息苦しさのほうが、何倍も現実的で重かったのです。
私は彼との旅行で、幸せは静かに心を満たすことを知りました。
同時に、彼との旅行が終わったあとに戻る場所が、私にとってどれほど苦痛なのかもはっきりしてしまいました。
あの夜の自分の言葉は、取り返しがつかないかもしれません。
でも、取り返さなくていいのだと、私はどこかで思い始めています。
私の人生を、誰かの下品な言葉で汚されるままにしてはいけないと、心の奥が静かに叫んでいたからです。

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